2008年3月15日土曜日

Task-Based Language Teaching

今日テンプル大学のdistinguished lecture でRod Ellis氏のTask-Based Language Teaching(TBLT)の講義を聴いてきた。TBLTは簡単に言えば、英語を使って何か課題(写真を描写する、伝言に対して返事を書くなど)を与えて、学習者がそれを行い自然に英語を身につける方法である。文法・語彙・発音などはその課題の中で最後に指導者がはっきりと、またはそれとなく教える方法である。

TBLTは話すことに主眼が置かれている。つまり英会話学校などでは効果的なアプローチである。Ellis氏も言われていたが、文法中心の精度に重点を置く英語教育には向かない。これを混在させながら使用することは不可能だと言う。その意味では学校英語はこのTBLTを事実上使用できないと言ってもよい。なぜならば、学校英語は文部科学省のガイドライン(文法が学習のターゲット)に沿っており、また受験でも文法を中心とする問題がまだ多いからだ。

言葉には、「話す」という精度よりも即興性を必要とする技術と正確に使用するという二つの部分があるが、それらを一つの学習方法で達成できないのだ。我々も日本語を話すが、「国語」の授業が必要だった。英語も同じだ。話すための効果的な学習方法と精度を極める学習方法は同一のものではない。

TBLTはEFL(外国語としての英語教育)の学習アプローチである。コンテキストリッチな海外では必要がない。つまり外の英語社会がすでにTBLTだからだ、Ellisさんが英語を水泳のように比喩していたが、海外では日常が英語の海だからどんなフォームであれ泳がなければならない。日本には英語という海はない。英語の海で泳がないといけない状況はない(インターナショナルスクールやイマージョンスクールは別だが)。だから教室をプールにしなければならないのだ。でも日本の教室はプールを作らず泳ぎ方やきれいなフォームを研究したり上手な人のフォームを見ているだけ。教室にニセモノでもいいから海を作って生徒に英語の海の泳ぎ方を身体をもって覚えさせなければならない。

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