2011年2月28日月曜日

ウオッシュバック効果

外国語を学習する際、テストは評価や進度を診断するために使用されます。テストは学習の結果であり目的とされません。そのため、テストのために外国語を勉強することは不自然と思われることもあります。
しかしながら、高校受験、大学受験のための試験英語や英検やTOEICなどの語学試験は時に学習の目的として使用されます。テストを目的とする場合、モチベーションの高い学習者は普通に学習する場合よりも上達のスピードが加速される場合もあります。試験のための学習は時として大きな効果を生み出します。こうした効果をウオッシュバックと呼びます。
しかし、ウオッシュバックには2種類の効果があります。一つはプラスのウオッシュバック効果。もうひとつはマイナスのウオッシュバック効果です。試験の内容が試験後の実践内容に何の関連性もなければ、試験のために勉強した内容は効果を表しません。せっかく暗記した単語もすぐに消えてしまいます。この意味では、受験英語でよく試される日本語訳技術や書き換えのテクニックは、受験後学校で翻訳コースに入ったり、脚本家になるための書き換えコースに入る機会がない限り無意味な学習経験となり、マイナスのウオッシュバック効果となります。
受験英語の多くが文学的で学術的内容です。入学後の語学のカリキュラムがアカデミックな内容であれば、プラスのウオッシュバックとなりえるでしょう。しかし、もし実際には会話を中心としたコースだとしたらせっかく覚えた内容が生かされません。数ヵ月後にはアカデミックな語彙も使われずに消えていきます。
一方、英検やTOEICの英語は、特殊な英語を使用していることは少なく日常的な英語が多く合格、不合格にかかわらず、試験後も生活や仕事で使われる英語とつながるためウオッシュバック効果はプラスのものとなります。試験の内容とその語の学習内容や必要とされる技術がマッチしていることがプラスのウオッシュバック効果を生み出します。